コールセンターは、顧客と会社を繋ぐ窓口の役割を果たす重要な業務です。昨今、入電数の増加や事業の拡大縮小などでコールセンター業務が課題になっている企業もあるのではないでしょうか?そんな時はコールセンター業務を外部に委託して電話代行サービスを利用するのも一つの手段です。
この記事では、コールセンター業務を外部に委託する方法を解説するとともに、自社の業務を外部委託するか悩んでいる方に向けて業者選びのポイントもご紹介します。
外部に委託できるコールセンターの業務内容
コールセンターは、顧客への電話対応を主な業務としています。顧客と電話をする中で顧客の要望やニーズが明らかになりますが、そのデータは開発中の商品やサービスを改良する時に反映させて活かすことができます。
そんなコールセンターの業務は大きく2種類あります。インバウンド業務とアウトバウンド業務です。「インバウンド業務」は顧客側からかかってきた電話を受ける業務のことで、「アウトバウンド業務」はコールセンター側から顧客に電話をかける業務のことです。
以下で、より詳しく見ていきましょう。
インバウンド業務
インバウンド業務は顧客や外部の人からかかってきた電話を受ける業務です。自社の商品やサービスの問い合わせに上手く対応できるスキルが求められるだけでなく、クレーム対応も含まれるため、電話対応を担うオペレーターの技量が試されます。
注文の受付、問い合わせへの回答、通販を受注する業務、カスタマーサポートに関する業務、テクニカルサポート、キャンペーンの応募、お店・宿泊施設の予約などがインバウンド業務に該当します。
インバウンド業務は顧客満足度に直結する業務のため、コールセンターの業務の中でも特に重要性が高いものとなっています。
アウトバウンド業務
アウトバウンド業務は自社から顧客へ電話をかける業務です。自社の商品やサービスをターゲット顧客に電話で売る営業力が求められます。新規顧客の開拓や既存顧客の満足度向上といった企業の業績に関わる役割を担っています。
テレアポ、マーケティングリサーチ(テレマーケティング)、市場調査(マーケットリサーチ)、国勢調査、イベント・キャンペーンの告知などがアウトバウンド業務に該当します。どれも営業活動の一環として重要な業務だと言えます。
コールセンター業務を委託するメリット
コールセンター業務を委託することで、コストを削減できる上、社員が自分の本来の業務に集中できます。また、人員の増減が簡単にできるだけでなく、すぐに専門性の高いコールセンターを設置できます。
ここからは、コールセンター業務を委託するメリット4点を解説します。
コストを削減できる
通常、コールセンターの立ち上げには、機材・システムの購入費用、コールセンター用のオフィスの整備、オペレーターの人件費、人員の採用・教育など大きなコストがかかります。しかし、コールセンター業務を委託すれば、立ち上げにかかるコストを大幅に削減することができます。
委託料金さえ払えば良い業務委託は、コールセンターを立ち上げるよりも経済的だと言えます。
社員が自分の本来の業務に集中できる
コールセンターを設置していない会社であれば、社員がコールセンター業務を兼務することもあります。そのため、本来の業務が後回しになり、進捗状況に遅れが生じる恐れがあります。
コールセンター業務を委託して電話代行サービスを活用すれば、社員が自分の本来の業務に集中できます。余計なしわ寄せがなくなり、生産性の向上に効果が期待できるでしょう。
人員の増減が簡単にできる
人員の増減も簡単に行うことができます。会社には繁忙期と閑散期があり、シーズンに合わせて人員を増減させるのは大変です。
しかし、代行会社に業務を委託すれば、こちらの要望を伝えるだけで柔軟に対応してもらえるので、シーズンを一切気にすることなく人員を増減させられます。
すぐに専門性の高いコールセンターを設置できる
外部に業務を委託することで、コールセンターの立ち上げに必要な業務のほとんどを任せられます。
特定の業界を専門にした業者もあるため、柔軟に対応してもらえるでしょう。その道のプロフェッショナルであれば安心して業務を委託できると思う人におすすめです。
コールセンター業務を委託するデメリット
ここまでコールセンター業務を委託するメリットを4つ見てきましたが、事前準備の大変さや情報漏えいの危険性など、デメリットも3つあります。
以下で、詳しく見ていきましょう。
委託するための事前準備が大変
コールセンター業務を外部に依頼すると、委託するための事前準備が大変です。そのため、実際に業務を委託するまでの流れを押さえておく必要があります。
まず初めに委託する業者選びをしましょう。次に、経営理念・商品やサービスの情報など自社の情報をマニュアルにまとめます。その際に外注先の選び方としては、マニュアル化も委託できる業者を選ぶと、後々スムーズに業務を進められるため、幅広い業務に対応できる業者がおすすめです。
情報漏えいが発生する可能性
コールセンター業務を外部に依頼すると、個人情報や契約に関する情報が漏えいする可能性があります。
コールセンター業務を代行会社に委託する時には、セキュリティ対策がしっかりできている業者を選ぶようにしましょう。
ノウハウを社内に蓄積できない
外注先に仕事を委託することで、業務効率を上げられるようになりますが、顧客やユーザーが不満に感じたことを把握しにくくなります。何かあった時には、委託会社に連絡を逐一取らなければならず、やり取りの度に進んでいた業務が滞ってしまいます。代行会社とのスムーズな連携を図るためにも、情報共有は欠かさずに行いましょう。
また、ノウハウを社内に蓄積できないことで、自社でコールセンター業務を担当できる人材が育ちにくくなります。それによって顧客の要望を分析したり、話をうまく聞いたりする技術が社内に蓄積されにくくなります。
コールセンター業務を委託する業者を選ぶポイント
コールセンター業務を委託する業者を選ぶときには、複数の業者を比較して、自社に最適な業者を見極めることが大切です。
委託先を選ぶ時には選定基準となるポイントが4つあります。外注先の選び方を事前にしっかりと確認しておきましょう。
専門性の高さ・実績
コールセンター業務を委託する業者を選ぶときには、自社と同じ業界のコールセンター業務に専門的に対応できるかどうかを確認しましょう。業界に精通していない外注先に業務を任せても、上手く顧客対応できないからです。
また、今まで自社と同じ業界のコールセンター業務の受注実績があるかどうかも確かめると良いでしょう。受注実績はどの業者に業務を委託するか決める時の判断材料となります。
同じ仕事を頼むのであれば、実績のある業者に業務を委託しましょう。
委託形態
コールセンター業務を委託する業者を選ぶときには、委託形態を確認することも大切です。委託形態は大きく3種類あり、アウトソーシング・人材派遣・業務委託に分けられます。
「アウトソーシング」とは、業務の一部を外部に委託することです。アウトソーシングに業務を委託すれば、仕事をスピーディーに進められる上に細かい調整が効きますが、ノウハウが蓄積しない、トラブルへの対応が遅れるといったデメリットもあります。
アウトソーシングの中でも、ビジネスプロセス(業務の一連の工程)を一括して代行会社に外部委託することを「BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)」と言います。BPOを通じて専門性の高い外部の企業に業務を委託することで、コストを削減につながるだけでなく、自社のコア業務に集中できます。
「人材派遣」は、活用することで人材の採用・教育の手間を省くことができ、スムーズな業務運営につながります。
「業務委託」は、マニュアルの整備といった運営を任せられるため、自社の負担を軽減できます。
料金形態
コールセンター業務を委託する業者を選ぶときには、料金形態も確認しましょう。料金形態は大きく「パー・コール契約」と「パー・ブース契約」の2種類に分けられます。料金が発生する仕組みが異なるため注意が必要です。
「パー・コール契約」はコール数に応じて金額が変動します。主にアウトバウンド業務を委託するときに締結する契約形態です。
「パー・ブース契約」は席数(人員数)×時間で課金されます。主にインバウンド業務を委託するときに締結する契約形態です。顧客からいつどのくらい電話がかかってくるか分からないので、常に一定数の電話応対できるオペレーターを配置しておかなければなりません。
信頼できるセキュリティ対策を取っているか
コールセンター業務を委託する業者を選ぶときには、信頼できるセキュリティ対策を取っているかどうか確認しましょう。
情報漏えいのリスクに関わるため、公式サイトや口コミなども活用して、外注先のセキュリティ情報をしっかりチェックする必要があります。
コールセンター業務を委託するときの手順
ここからは、コールセンター業務を委託するときの手順について解説します。業務内容などの確定、委託する業者選び、契約、研修・運用テストといった、4つのステップがあります。
それらの手順について詳しく見ていきましょう。
ステップ1.業務内容・要件などを確定させる
まず、自社のコールセンター業務に必要な業務内容を整理しましょう。外注する範囲・コスト・目的などを明確にする必要があります。
どのくらいの規模や予算で運用するのか、何のために自社のコールセンター業務を委託するのかを明確にしないまま委託先を探しても、自社に適した業者は選べません。
ステップ2.委託する業者を選ぶ
委託先を決めるときは、料金とセキュリティ性・専門性のバランスが良く、自社に適した業者を選びましょう。
その際、数社をピックアップして比較すると、委託先を相対的に見られるでしょう。
ステップ3.業者への連絡・契約
委託したい業者が決まったら、見積もりや導入形態の紹介をしてもらいましょう。
契約した後は、相談を繰り返しながら運用形態をより詳しく決めていきます。
ステップ4.研修・運用テスト
作成したマニュアルなどをもとに研修を行いましょう。デモンストレーションを通して運用テストを実施し、細かいところまでブラッシュアップしていきます。
体制が整ったら遂に運用開始です。
コールセンター業務は自社に適した委託先に依頼しましょう
コールセンターは、顧客への電話対応を主な業務としていて、顧客側からかかってきた電話を受ける「インバウンド業務」とコールセンター側から顧客に電話をかける「アウトバウンド業務」の2種類に分けられます。
コールセンター業務を委託するメリットは4つあります。コストを削減できる、社員が自分の本来の業務に集中できる、人員の増減が簡単にできる、すぐに専門性の高いコールセンターを設置できるといった点が挙げられます。しかし、外部委託にはデメリットもあり、事前準備が大変だったり、情報漏えいが発生する恐れがあったりと注意も必要です。
委託先を検討する際には、「専門性の高さ・実績」「委託形態」「料金形態」「信頼できるセキュリティ対策を取っているか」の4つのポイントをチェックしましょう。その上で、業務内容などを確定させ、業者を選びます。契約後は、研修・運用テストも忘れずに行ってください。
コールセンターの業務を外部に委託することで業務効率の向上を図りたい方は、今回ご紹介した業者選びのポイントや手順を参考にしてみてはいかがでしょうか。