サイト内検索

カスハラ対策:国や自治体の動向

カスハラ対策:国や自治体の動向

国や自治体の動向近年、カスタマーハラスメント(カスハラ)は企業や自治体にとって深刻な社会問題となっています。理不尽な要求や暴言により従業員の心身に悪影響を及ぼすケースが増え続け、職場環境の悪化や人材流出の要因にもなっています。これに対処すべく、国や自治体はカスハラ対策の強化に乗り出しており、法整備や支援体制の充実など、さまざまな取り組みが進められています。
本記事では、こういった動向を紹介します。

トビラフォンBiz・トビラフォン Cloudでカスハラ対策!
カスハラ対策はマニュアルだけではない現実的な対策と解決方法

厚生労働省の動き

2024/12/27

厚生労働省は12月26日、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止策を全企業に義務付ける報告書をまとめ、労働政策審議会分科会で了承を得ました。これにより、顧客や取引先からの理不尽な要求や言動から従業員を守り、職場環境を改善する法案を来年の通常国会で提出する予定です。
カスハラについては、以下の3要素を満たすものと定義しています。
①顧客や取引先、施設利用者らが行う
②言動が社会通念上相当な範囲を超える
③就業環境が害される
また、就職活動中の学生へのセクハラ防止も義務化され、相談窓口設置や被害者対応の強化を求めています。

2024/12/20

厚生労働省は16日、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」防止策を企業に義務づける方針を決定し、労働施策総合推進法(パワハラ防止法)の改正案を通常国会で提出予定です。
企業に相談窓口設置や対応方針の周知を求めると同時に、消費者の正当な権利を尊重することも求めます。
また厚生労働省の調査では、接客業従業員の17.4%が過去3年でカスハラを経験しており、企業の対策未実施率は55.8%だったとのことです。

2024/12/3

厚生労働省は、労働者を「カスハラ」から守るための方針案を示しました。「カスハラ」は顧客や利害関係者の過剰な言動で労働環境が害されるものと定義し、企業に対し方針明確化、周知・啓発、適切な相談体制の整備を義務づけます。正当なクレームとの区別、業界ごとの対応、中小企業への支援も検討されています。年内に方針を正式に取りまとめる予定です。

各党の動き

・日本共産党

2024/10/3

日本共産党は、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例案に対し、被害者救済、消費者教育強化、指針変更時の議会報告を求める付帯決議案を提出しましたが、否決されました。藤田りょうこ都議は、カスハラ被害が精神障害や自死に至る深刻な問題と指摘し、指針と条例を一体的に議論する必要性を強調しました。都側は「正当な権利の侵害は許されない」と答弁しています。

・立憲民主党

2024/6/18

立憲民主党は2024年6月18日、カスタマーハラスメント対策の早期実施を武見厚生労働大臣に要請しました。UAゼンセンの調査では、直近2年以内に迷惑行為被害を受けた労働者が46.8%にのぼり、対策が急務とされています。要請では、正当な苦情を妨げない配慮や政府内協議会の設置、法改正による労働者保護の強化、全業種対象の明確なカスハラ定義策定を含む6項目を求めています。

・国民民主党

2024/5/19

国民民主党は2024年5月19日、カスタマーハラスメント対策法案を参議院に提出しました。この法案は、悪質なクレームや迷惑行為から従業者の就業環境を守るとともに、事業者が積極的に対策を推進する内容です。また、消費者の正当な苦情申出が妨げられないことも規定しています。同党は社会的認知度向上や協議会設置を提案し、消費者・従事者・事業者の権利を守る法案の必要性を訴えました。5月29日には同法案を再提出しています。

・自由民主党

2024/5/13

自民党は2024年5月13日、顧客による迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策の提言案を発表しました。従業員保護を義務付ける法整備を求め、カスハラの定義や代表例の明確化、周知を提唱。また、企業に従業員保護措置を義務化し、顧客対応研修や消費者教育の強化も求めています。厚労省は提言を基に6月の「骨太の方針」や労働施策総合推進法への対策盛り込みを検討中で、現行法で未規制のカスハラ問題解決が期待されています。

・公明党

2024/5/4

公明党は2024年5月4日、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策を首相官邸に提言しました。小売業や医療などでの深刻なカスハラ問題を受け、政府全体での取り組みや、労働者相談対応の体制整備を事業者に義務付ける法整備を要請。また、顧客対応研修や業界独自の取り組み、中小事業者向け相談窓口設置、消費者教育強化を提案しました。林官房長官は提言を検討に生かすと述べています。

自治体などの動き

2025/1/21

愛知県は、カスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例の制定に向け、2024年5月から対策を検討し、1月20日に第1回の会議を開催しました。条例の骨子案では、労働者の保護と顧客の権利配慮を両立させる方針を示し、罰則は設けないとしています。
この案をもとにガイドラインを作成し、事業者向けのマニュアル作成を促進します。
条例案は2025年6月の県議会での提出を目指し、意見収集のためにネット公開も予定しています。

2025/1/15

東京都は10日、2025年度新年度予算案の査定を開始し、カスタマーハラスメント(カスハラ)対策を実施した中小企業への奨励金を当初30万円だったものが40万円に増額することを決定しました。この奨励金は、録音機器の整備や対応マニュアルの作成を行った企業が対象です。
査定は来週まで続き、他の経済支援策も検討されます。最終的な予算案は月末に公表され、都議会での承認を目指します。

2024/12/26

東京都のカスタマー・ハラスメント防止条例に基づく指針が25日発表されました。
この指針では、迷惑行為の具体例や定義、就業者・事業者・顧客の責務を明確化しています。
事業者は、相談窓口の設置や就業者の安全確保、適切な教育や再発防止策を求められます。
就業者は、顧客等の権利を尊重し、カスタマー・ハラスメントに係る問題に対する関心と理解を深め、防止に役立つ行動をとるよう求められます。
一方、顧客に対しては正当なクレーム権を保障しつつ、要望の伝え方等を工夫するなど迷惑行為の抑制を求めます。
条例の実効性を高めるため、都は情報提供や啓発及び教育、相談支援を行います。
カスタマー・ハラスメントの防止に関する指針(ガイドライン)

2024/12/3

「北海道」
2024年11月26日、北海道議会はカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例を可決・成立させました。カスハラを「社会通念上、不相当で就業環境が害される行為」と定義し、禁止・事業者や道に対策を求めています。 議員提案によるカスハラ防止条例の制定は全国初の事例であり、東京に足並みを揃え2025年4月の施行を目指しています。

「三重県桑名市」
三重県桑名市は、顧客による悪質なクレームや迷惑行為を防止するため、全国の市町村で初めてとなるカスタマーハラスメント(カスハラ)防止条例案を12月の市議会に提出する予定です。カスハラを「要求の内容に妥当性がなく、就業者の労働環境が害される恐れがある行為」と定義し、場合によっては氏名公表に踏み切るとのこと。 また、市内の事業者を対象とした相談窓口の設置や、カスハラ対策委員会の設立も盛り込まれています。

2024/10/30

東京都議会により、2024年10月4日全国初の「東京都カスタマーハラスメント防止条例」が可決・成立となりました。
罰則はないものの、2025年4月よりカスタマーハラスメント防⽌条例が施行となります。

北海道におけるカスハラ対策の状況
北海道でも、業種を問わないサービス業従事者のカスハラ被害が深刻な問題として認識されており、「カスタマーハラスメント(カスハラ)」防止条例の制定を目標とした独自のカスハラ対策を検討する機運が高まっています。

2024/5/28

愛知県では、経済団体、労働団体、有識者及び行政機関を構成員とする「カスタマーハラスメント防止対策に関する協議会」を設置し、カスタマーハラスメントの現状を把握するとともに、防止に向けた対策について協議を進めています。

 

カスハラ問題の現状とその解決策については、こちらの記事でご紹介しています。
ぜひご覧ください。
カスハラ対策はマニュアルだけではない現実的な対策と解決方法



SNSでもご購読できます。