これからDX化を進めていくにあたって、「ツールの選び方が分からない」「自社に合ったツールにはどんなものがあるか」という悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。ツール選びでは、いくつかのポイントを押さえて選定することが重要です。
この記事では、DXの概要から、DX化に必要なツール選びのポイントやツールの種類を紹介しています。ツールごとにどのようなメリットがあるのかも解説しているので、ぜひ参考にしてください。
DXとは
経済産業省の定義によると、DX(Digital Transformation/デジタルトランスフォーメーション)とは、「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」とされています。
インターネットなどの情報技術で業務効率化を図る「IT化」と混同されがちですが、DXはデジタル技術を用いて企業変革を行うことを指します。
DX化にツールは必要?
DX化では、これまでになかったシステムを構築するため、ツールの使用は必須です。ツールはさまざまなものが各社で開発されており、それぞれ目的が異なります。
社内に開発技術があり、人員などのリソースが割けるのであれば、ツールを自社開発することももちろん可能です。ただし、開発には多大な工数や費用がかかることから、各社から提供されているツールを利用するほうが現実的でしょう。
DX化ツールを選ぶポイント
DX化のツールを選定するポイントは、「使いやすさ」と「他ツールとの連携のしやすさ」です。新しいシステムを導入することで、社員はツールの使用にハードルを感じてしまいます。スムーズにDX化を進めていくには、誰でも簡単に使えるツールであることが重要です。また、DX化はすべてのシステムを刷新するわけではないので、既存のツールとの互換性も大切になります。これらのポイントを考慮して、ツールを選んでいきましょう。
誰でも使用しやすいか
ツールは、新入社員からデジタルに慣れていない中高年の方まで利用するため、誰にとっても使いやすいものであるべきです。肝いりで導入したとしても、専門的な知識を要するようなツールは敬遠されてしまいます。
誰でも使いやすい操作性の高さは、ツール選びにおいて非常に重要な指標です。簡単に使えるうえに便利なツールとなれば、積極的に利用され、DX化の促進にもつながります。形だけのDXにしないためにも、部署や現場で実際に使用する人を想定したものを導入しましょう。
他のツールと連動させやすいか
導入するDXツールは、社内で使用している他のツールと連動して使えるものを選びましょう。例えばExcelやWordなどは引き続き使用することになるため、こうした今まで使っていたツールとの連動ができなければ、利用しづらいといえるでしょう。
現在自社が使用しているツールとの互換性は必ず確認し、なるべく他のツールと連携しやすいものを選ぶのがよいでしょう。
【営業・マーケティング】DX化ツール一覧
ここからは、DXツールの中でも、営業やマーケティングの効率化に役立つツールを紹介します。これらのツールは主に、営業進捗や顧客データを共有することで効率化を可能とするものです。資料を集めたり、動向を分析したりする手間が省けるので、すぐに次のアクションに移れます。AIによる分析機能がついているものもあり、データから結論を素早く導くことが可能です。
SFAツール
SFA(Sales Force Automation/セールスフォースオートメーション)は、営業活動を効率的に行うためのもので、営業の進捗状況や見込み顧客の管理などをデジタルで行うことが可能です。営業フローを可視化できるので、個人ごとの営業活動を共有できます。記録としても残すことが可能で、引き継ぎもしやすいです。
代表的なツールには、「Sales Cloud」「Senses」「kintone」などがあります。
CRMツール
CRM(Customer Relationship Management/カスタマーリレーションシップマネジメント)は、顧客情報を管理するものです。既存顧客のデジタル管理や年齢・性別といった属性のデータ化などが可能です。また、システム上で管理することで、異なる支社や店舗の顧客情報を共有できます。集めたデータの分析も可能で、顧客のニーズをとらえたり、効果的なアプローチ方法を考えたり、効率よくマーケティングをするために重要なツールの一つです。
代表的なツールには「sansan」「Sales force」「kintone」などがあります。
MAツール
MA(Marketing Automation/マーケティングオートメーション)は、マーケティング活動を自動で行えるもので、顧客の属性に合わせたコンテンツをメールやSMSなどで配信できるのが特徴です。最適なタイミングに自動で配信することで、人手と時間が必要な作業を削減することができます。
代表的なツールは、「Marketo Engage」「SATORI」「SHANON MARKETING PLATFORM」などです。
BIツール
BI(Business Intelligence/ビジネスインテリジェンス)は、自社のデータを分かりやすく整理・分析し、企業の意思決定を支援するものです。データを整理しておくことで、喫緊の課題に対して素早く対応できるので、ビジネスのスピード感を高められます。膨大な情報量をもつビッグデータの分析や集計が可能で、迅速な経営判断や、データをもとに戦略を立てるのに役立つでしょう。
ツールの代表例には、「Google Data Portal」「Tableau」「Domo」などがあります。
【業務効率化】DX化ツール一覧
DX化ツールには、定型業務をロボットに任せたり、オンラインで社内コミュニケーションを取ったりと、業務を効率化できるさまざまなものがあります。データの受け渡しや承認・決済作業もオンラインで完結でき、ハンコやサインなども不要です。また、会計関連の書類作成も、ツールを使えば簡単に済ませられます。業務効率化ツールを用いれば、多くのメリットを得ることが可能なのです。
RPAツール
RPA(Robotic Process Automation)は、定型業務や単純作業をロボットが代わりに行い、自動化するものです。RPAツールを用いることで、意思決定など、人間にしかできない業務に時間をさけるようになり、生産性が向上します。また、RPAツールはロボットが作業することで、ミスをしない上に高速で作業を終えることができ、業務の品質を落とさずに素早く仕上げることが可能です。
ツールの代表例として、「BizRobo!」「WinActor」「UiPath」などが挙げられます。
オンライン会議ツール
オンライン会議ツールは、パソコンなどのインターネットにつながるデバイスを用いて、ビデオ会議ができるものです。社内だけでなく、顧客や取引先との商談にも使えます。テレワークの場合でも会議やセミナーを行うことができ、会議のためだけに出社する必要もなくなります。また、会議室への移動時間も節約可能です。メンバーが集まるまで自分の席で業務を進めることができ、作業効率が上がります。
代表的なツールは、「Zoom」「Skype」「Google Meet」などです。
チャットツール
チャットツールは、チャット形式でコミュニケーションをとれるツールで、パソコンやスマートフォンで使用が可能です。チャットなら要件を簡潔に伝えられるので、メールよりも手軽に連絡がとれてスピーディーなやり取りができます。制限内であればファイルを添付することもできるので、資料の共有も簡単です。ツールによってはミーティングができる仕様となっており、必要に応じて会議に移行できます。
代表的なチャットツールは、「Chatwork」「Slack」「Google Chat」などです。
ワークフローツール
ワークフローツールは、一連の事務業務を簡潔にできるツールです。デジタルで承認作業ができるのでハンコやサインが不要で、迅速に処理が行えます。書類がデジタル化されているので、提出も手渡しではなくツールを使ってスムーズに行えます。特に、総務や人事、経理などの承認作業が多い部署や、定型的ではあるものの、人の目で確認が必要な書類を扱う業務へ導入すると便利でしょう。
代表的なワークフローツールには、「ジョブカンワークフロー」「MAJOR FLOW Z FORM」「SmartDB」などがあります。
電子決裁ツール
電子決済ツールは、サインや実印を使わずに、電子上で契約を結べるツールです。書類の作成から申請、承認までの一連のやり取りを、電子データだけで行うことができます。取引先や顧客との書類のやり取りも省けるため、契約締結までの時間短縮が可能です。
ツールの代表例には、「クラウドサイン」「Shachihata Cloud」「承認Time」などがあります。
会計ツール
会計ツールは、収支管理から仕訳、決算書作成までを完結できるツールです。Excelなどの表計算ソフトでは、伝票に加えて帳簿を作成する必要がありますが、会計ツールなら伝票作成と同時に帳簿まで作成可能です。クラウドで管理するタイプであれば、税理士など外部機関への相談も容易に行えます。
会計ツールの代表例は、「マネーフォワードクラウド会計」「freee会計」「勘定奉行クラウド」などです。
オンラインストレージ
オンラインストレージは、様々なデータをオンライン上に保管することができ、クラウドストレージとも呼ばれます。容量が大きくメールでは送りにくいファイルもクラウド上でやり取りが可能です。クラウドへ保存したデータは関係者で共有でき、閲覧や編集もすぐに行えます。インターネットに接続したデバイスならアクセスが可能で、アクセス許可がされていれば、スマートフォンやタブレットでも使用できます。外出先でも資料の確認や編集が容易なため、仕事の効率も上がるでしょう。
オンラインストレージの代表例には、「Google Drive」「Dropbox」「Microsoft OneDrive」など があります。
DX化推進のポイントはツール選びにあり
ツールなくしてDX化を進めることは極めて困難です。自社開発する方法もありますが、各社が提供しているものを利用するほうが無難でしょう。ツール選びのポイントとしては、誰でも使いやすいものを選ぶことです。専門的な知識が必要、操作性が悪いなど、社員に使いづらいツールは導入する意味がありません。また、現在使っているツールとの互換性があるかも確認しておきましょう。
DX化ツールとひと口にいっても、営業・マーケティング向けのものや、業務効率化に特化したものなど、ツールごとにそれぞれ特色があります。まずは現状の業務およびシステムを洗い出し、どんなツールがあると便利なのかを把握しましょう。必要な機能が明確になったら、その機能が搭載されているツールをピックアップします。紹介した各ツールの代表例もみながら最適なツールを選んで、DX化を進めましょう。