2020年の新型コロナウイルス感染症拡大をきっかけに、クラウド型ビジネスフォンを導入した企業は数多く存在します。
一方で、数あるクラウドPBXサービスのどれを導入するべきか迷ったまま、保留になっている企業が多いのも事実です。
クラウドPBXには一体どんなメリットがあるのか?
気を付けなければいけないデメリットは何なのか?
時代に乗り遅れないためにも学んでおきましょう。
クラウドPBXとは
従来のPBXは機器をオフィスに設置して利用するものでした。
クラウドPBXは機器も場所の確保も不要で、インターネット回線を利用してPBXの持つ機能(内線・外線・転送)を利用できるクラウド型のサービスです。
コストも抑えられ、オフィススペースの有効利用にもなります。
電話番号はIP電話の050から始まる11桁の番号が割り当てられます。
市外局番のように地域に紐づけられた番号ではないため、オフィスの移転時に電話番号を変える手間がかかりません。
また、市外局番を代表番号にしていると、遠方のお客様からは「問い合わせをしても対応してくれないのではないか」といった印象を与えかねず、知らない間に機会損失に繋がることもあります。
クラウドPBXを利用するメリット
機器と設置場所が必要なPBXと比べ、クラウド上のサーバーで機能するクラウドPBXの導入は様々なメリットを生み出します。
コストの削減が可能
従来のPBXのように高価な機器を購入する必要がなく、初期投資費用を大幅にカットできます。
機器の故障時にかかる修理費やメンテナンスなどの維持費用もかからないため、ランニングコストも大幅に軽減できます。
また、固定回線利用時よりも月額費用が低く設定されているケースもあり、よりコストを下げることも実現可能です。
さらにアプリ化されたクラウドPBXサービスを利用することで、各々が持つスマホを利用でき、企業からの社員に配布していた携帯端末料金も不要となります。
工事が不要
PBX機器の設置には専門業者を手配する必要があり、高額な費用もかかる上に配線工事には立ち合い時間も要します。
しかし、クラウド上で管理されるクラウドPBXは、これらが一切不要です。
そのため利用開始時間までの期間も短くなり、すぐに電話の利用を開始することができます。
導入完了までの間、電話業務に支障を及ぼすことはありません。
テレワークが可能
政府の推奨する働き方改革のひとつの形テレワーク。
テレワークは災害による交通機関の麻痺時や、ケガなどで通勤が困難になった場合など、出社することが難しい状況であっても停滞させることなく業務を遂行することができます。
働く場所にとらわれないため、常にオフィスにいる必要はありません。
クラウドPBXであれば、インターネット環境が整っている状況かつパソコンやスマホさえあればテレワークを開始することができます。
外出先でも内線対応が可能
クラウドPBXは、スマホを内線で繋ぐことができます。
外出中であったり出張中であっても内線通話が可能なため、電話を受けた際にメールで報告するなどの手間がかからず業務の効率化に有効です。
また、折り返しの電話をするためだけにオフィスに戻る時間を節約することができ、お客様を待たせる時間も軽減することが可能です。
どこにいてもスマホで内線利用できることで、業務効率化だけでなくホスピタリティの面で大きな効果を発揮します。
オフィスでしか使えなかったビジネスフォンは、クラウドPBXにより常に持ち歩くことができるようになります。
通話の録音が可能
「言った言ってない」などのよくあるトラブルに対応可能
クラウドPBXはクラウド上のサーバーで通話内容を録音することができます。
何度も聞き返すことが難しい場合、あとから録音内容を確認することができて便利です。
ビジネスシーンでよく見られる「言った言わない」のトラブルも、通話録音機能によりスムーズな対応が可能になります。
司法書士や弁護士などの士業においては、言った言わないの証拠としても使えるため重宝されています。
また、新人研修の際にも教育材料として録音された通話を使うことができます。
顧客電話帳の共有が可能
多くのスタッフがそれぞれ顧客を抱えていたとしても、各人が持つ電話番号の共有ができます。
サーバー上に電話帳があるため、どこからでも誰にでもアクセスすることが可能です。
クラウドPBXを利用するデメリット
従来のPBXに比べコストを削減できる点や、スマホを内線として利用できる点など利便性の高いクラウドPBXですが、もちろんデメリットもあります。
メリットとデメリットをきちんと理解し、失敗のないようにしましょう。
ネット環境によって安定性が異なる
インターネットを利用するため、安定しない通信環境下では通話音質に影響が出ます。
通信状態が悪いと通話相手の不満を募らせてしまうこともあり、常に通信状態の確認が必要になってしまいます。。
また、停電時にはクラウドPBXの利用ができなくなってしまいます。
安定した通信環境下での利用が望まれます。
一部の番号に架電できない
緊急時に使われる110番や119番など、一部の特殊電話番号に電話をかけることはできない、というデメリットがあります。
急な対応が必要な場合などには、自前のスマホや公衆電話、またはクラウドPBXではない電話機で対応する必要があります。
クラウドPBXを選ぶポイント
クラウドPBXのサービスを扱う業者は複数あり、業者によって特長が異なります。
クラウドPBXを選ぶ際のポイントをご紹介します。
設定変更の柔軟性は高いか
営業時間の設定や利用者ごとに使用する電話番号の振り分け変更などの設定は、業者への依頼が必要な場合があります。
望んだ設定が完了するまでに時間がかかるほか、結果として希望の設定ができないこともあり思うような運用ができないこともあります。
設定内容に柔軟性のあるサービスを選ぶことがベストです。
また、マイページなどが用意されているサービスであれば、自身による設定ですぐに反映されるものもあります。
自社の運用方法にあったものを選びましょう。
通話品質は高いか
通話品質が低いものを利用すると、「相手が何を言ってるかわからない」「言いたいことが伝わらない」など、会話がスムーズに進みません。
また、聞き返しが多発することによりクレームへと発展する可能性も高く、さらには企業イメージを損ないかねません。
低コストや多機能だけに目を奪われず、通話品質の高いサービスを選ぶようにしましょう。
自社の規模に適した料金か
サービスにより、利用者数・回線数など想定された規模が異なります。
多くの従業員を抱える大企業向けであったり、少人数で運営する企業向けであったり、サービスにより大きく異なります。
間違った選択をしてしまうと想定外の料金がかかる場合もあるため、自社に適した料金体系やサービスを選びましょう。
セキュリティは万全か
スマホの盗難・紛失や、会話の盗聴などによる情報漏洩に関し、万全なセキュリティ対策がなされているどうかは重要なポイントです。
顧客の個人情報を守るため、また自社の機密情報を守るためにも、安心できるセキュリティがされているかはとても大切です。
比較する企業の実績や、各サービスに対する利用者の口コミ内容もしっかりと確認した上での判断が必要です。
【比較】クラウドPBXのサービス一覧
クラウドPBXサービスを提供している企業は多数あります。
目的により選定基準は異なりますが、主だったものについて特徴をご紹介します。
ひかりクラウドPBX
・「ひかり電話通信」を利用のため通話環境の安定性が高い。
・スマホでの利用が可能。
・スマホ1台で内線番号・代表番号・社用携帯番号の使い分けが可能。
・トライアル期間2週間あり。
・既存のPBXやビジネスフォンと併用可能。
MiiTel
・スマホでの利用が可能。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・SFAツールと連携が可能。
・通話内容を文字起こしする機能を搭載。
・話す速度や、会話のキャッチボール回数などをAIにてスコアリング。
・情報漏洩対策、データ保全・保護などのセキュリティ。
UNIVOICE
・スマホでの利用が可能。
・5つの市外局番の利用が可能。(順次拡大中)
・顧客対応、バックオフィスとの連携が可能。
・導入までの期間は最短で1日。
・トライアル期間2週間あり。
・不正アクセス対策セキュリティ。
トビラフォン Cloud
・NTTコミュニケーションズのIP電話回線をバックボーンに使用しており通話品質は高い。
・スマホでの利用が可能。
・0ABJ番号(市外局番)の利用が可能。(2022年1月12日より開始)
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・顧客管理システム「カイクラ」との連携が可能。
・小規模からの契約に対応。
・導入までの期間は最短翌営業日。
・トライアル期間5日間あり。※期間終了後再度申込み可能。
・迷惑電話を自動でブロックする独自の機能を搭載。
モバビジ
・総務省判定基準「クラスA」の通話品質。
・スマホでの利用が可能。
・0ABJ番号(市外局番)の利用が可能。
BIZTELビジネスフォン
・通音の途切れや時間差が生じない通話音声品質
・スマホでの利用が可能。
・03・06・050・0120番号での発着信が可能。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・外部APIや各種CRM・SFA・MAとの連携が可能。
・小規模からの契約に対応。
・導入までの期間は最短5日。
・24時間365日電話サポートあり。
クラコールPBX
・スマホでの利用が可能。
・03など11の市外局番での発着信が可能。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・導入までの期間は約5営業日。
・30日間の無料お試しあり。
・アプリ/ブラウザとクラウドサーバー間の通信はSSL(TLS)による暗号化と認証。
MOT TEL
・東北、東海、北陸、中国・四国、九州へのデータセンター設置で安定した通話品質。
・スマホでの利用が可能。
・03や06と言った市外局番の新規取得も可能
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・CRM・メール管理システム・販売管理システムなどと連携可能。
・申込み前の無料トライアルあり。
・CTI機能搭載。顧客管理(CRM)との連携が可能。
INNOVERA PBX
・スマホでの利用が可能。
・約40種類の市外局番での発着信が可能。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・APIによりCRMなどのツールと連携が可能。
Arcstar Smart PBX
・通話品質は高くないが、「Arcstar IP Voice」の申し込みで高品質化される。
・スマホでの利用が可能。
基本は内線端末として。別途申込で050番号の使用が可能。
・10営業日の無料お試しあり。
GoodLine
・通話音質はIP電話のクリアな音質。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・slack、salesforce、Microsoft Teamsなどとの連携が可能。
・最短二日で導入可能。
まとめてクラウドPBX
・スマホでの利用が可能。
・市外局番は利用不可。
・IVR機能(自動音声アナウンス)を搭載。
・30日間返金保証制度あり。
これからの時代をけん引するのは「クラウドPBX」
クラウドPBXは、低コスト・多機能だけが魅力ではなく、スマホの内線化による業務効率化や、昨今多発している災害時のBCP(事業継続計画)、テレワークによる働き方改革にも貢献します。
サービスは多数あり導入前はどうしても迷ってしまいますが、これからも長く使う電話であることに間違いはありません。
クラウドPBXを利用する目的を明確にし、メリットとデメリットをしっかりと見極め自社にあったサービスを選びましょう。