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IoTシステムとは?構成要素・注目される理由・活用事例を解説

IoTシステムとは?構成要素・注目される理由・活用事例を解説

IoTシステムを導入する企業が近年増えていますが、「IoTとはそもそもどんな技術なのか」「IoTで何ができるのか具体的に知りたい」という方も多いのではないでしょうか。

 

IoTシステムをうまく活用すれば、生産性の向上や新しいサービスの創出などが期待できます。この記事では、IoTシステムの概要から、IoTシステムが注目されている理由や活用事例までを詳しく説明しているので、ぜひIoTシステム導入のヒントにご活用ください。

IoTシステムとは

IoT システム

IoTとは「Internet of Things」の略です。日本語では「モノのインターネット」といい、あらゆるモノをインターネットに接続することを指しています。IoTを活用する仕組みのことはIoTシステムといわれますが、単にIoTのことをIoTシステムと呼ぶこともあります。

IoTシステムの構成要素

IoT システム

IoTシステムは、4つの構成要素によって成り立っています。IoTのモノにあたるデバイス、モノの動きを検知するセンサー、モノ同士の情報を伝達するネットワーク、モノの情報を収集するアプリケーション。これらの要素をきちんと把握しておけば、自社のどういった業務にIoTシステムを活かせるかが見えてくるでしょう。

デバイス

デバイスとは、人が実際に使用する端末のことで、ここにIoTシステムを組み込みます。電化製品や自動車、工場の設備などがこれに当てはまります。

センサー

センサーは、温度・光・音といったあらゆる情報を検知するものです。デバイスとセンサーを連携させることで、周囲の気象情報を収集したり、人やモノの動きを検知したりできるようになります。

ネットワーク

モノ同士が情報を伝達するためにはネットワークに接続する必要があります。ネットワーク接続には、固定回線・4G・5Gなどの直接インターネットにつなげる方式と、BlueToothやWi-Fiなどに接続するデバイスゲートウェイ方式があります。

アプリケーション

アプリケーションは、センサーやネットワークを通じて集められた情報を可視化したり、分析したりするためのものです。アプリケーションがデータにもとづいて指示を出すことで、デバイスはそれぞれの状況に応じた動きがとれます。

IoTシステムが注目され始めた理由

IoT システム

IoTシステムが注目され始めたのには、次世代移動通信システムとして普及した5Gや、技術の発展によるデバイスの軽量化が要因として考えられます。また、デバイスやセンサーの製造コスト低下やスマートフォンの普及などで、IoTを活用できる下地が整ったことも関連しています。それぞれの理由について、詳しくみていきましょう。

5Gの普及

第5世代通信システムである5Gは、高速・大容量・低遅延・同時多数接続が特徴です。デバイスから得る情報量が多くなれば、処理する能力も求められるため、IoTには欠かせない技術といえます。2019年以降に試験サービスが始まり、現在は導入が本格化したことで、IoT普及の一因となりました。

デバイスの縮小化・軽量化

技術の発展によりデバイスが小さく、軽くなったこともIoTが注目され始めた理由の一つです。小型なデバイスでさまざまなモノにIoTシステムを取り入れることが可能になり、IoTの普及が広がりました。また、スマートウォッチなどの小型ウェアラブル端末が開発されたことも大きいでしょう。

IoTシステムの導入費用低下

IoTシステムの導入費用が抑えられるようになり、導入に前向きな企業が増えています。デバイスやセンサーといったIoTシステム構築に必要な材料が、安価で製造できる技術により、構築にかかるコスト低減を実現しました。さらに、ネットワーク通信機器の費用やアプリケーション開発費用も低下したため、IoTシステムを導入したいという企業が増え、市場が活発になっています。

スマートフォンの普及

スマートフォンの普及により、多くの人がIoTの利便性を享受できるようになりました。さまざまなIoTシステムの操作がスマートフォン一つあれば可能なため、一般の人でも手軽に取り入れられるようになり、IoTの知名度と普及率が向上したのです。

IoTシステムの活用で実現できること

IoT システム

IoTシステムを活用することで、設備を遠隔操作できたり、センサーでモノの動きを知ることができたりと、利便性の向上が期待できます。顧客は生活が便利になり、事業者は工数の削減や省人化を実現可能です。具体的に、IoTシステムでどういったことができるのかを説明します。

モノを操作する

IoTシステムを活用することで、あらゆるモノを遠隔操作することが可能です。代表例は、遠隔でリモコン操作ができるスマート家電です。外出していてもスマート家電と連携したスマートフォンを操作することで、お風呂を沸かしたり、エアコンのスイッチを入れたりできます。お掃除ロボットの操作や植物の水やりなどにもIoTシステムが活用でき、遠隔操作によって日常生活がより快適になります。

モノの動きや状態を知る

IoTシステムにより、インターネットを通じて離れた場所のモノの動きや状態を確認できます。センサーの種類によってさまざまな情報を取得することができ、その情報をデバイスに送ることが可能です。

照度センサーが組み込まれているデバイスがあれば、家を出てからでも電気の消し忘れを確認できます。温度センサーが搭載されているデバイスなら、部屋の温度が分かるので、エアコンを遠隔操作して、帰宅するまでに快適な温度に調整することが可能です。動きを検知するモーションセンサーは、防犯対策に活用できます。

 

このように、モノの動きや状態を知ることで、状況に応じた対応が迅速にとれたり、モニタリングの負担が軽減できたりします。

モノとモノで通信をする

IoTシステムを活用すれば、モノとモノで通信ができます。日常生活においては、先ほど紹介した照明、エアコンといった家電とスマートフォンでの通信が代表例です。ネットワークに接続できる工場ラインなら、IoTシステムを構築することで機械同士の自由な連携が可能です。センサーで得られた情報をアプリケーションにより可視化して、デバイスを通して遠隔制御することもできます。

 

あらゆるモノとつながり、遠隔で操作できることがIoTの特徴といえます。日常生活のちょっとした煩わしさを解消できるのはもちろん、業務の効率化や新たなサービスの導入にも活用することができるでしょう。

【分野別】IoTシステムの活用事例

IoT システム

では実際に企業はIoTシステムをどのように活用しているのか、5つの分野別で紹介します。どの分野にも共通しているのは、業務の削減によって効率化を実現している点です。また、センサーをどのように活用するかによって、導入効果が大きく変わることも読み取れます。

農業の事例

農業においては、ビニールハウス内に各種センサーを設置することで、農作物や設備の管理を行っています。地面の温度や土に含まれる水分量、土壌のpHなど、センサーで計測した情報を確認できるのはもちろん、AIで分析し、肥料や水分量の適正を知ることが可能です。結果として、農作物の品質が安定し、廃棄量の削減にもつながります。

 

設備の管理では、ビニールハウス内にサーモスタットや停電検知システムを導入。温度の異常や落雷による停電などの設備トラブルを検知できるので、突然のトラブルでもすぐに対応できます。

また、遠隔地からビニールハウスの状況を把握できるので、台風などの災害時でも安全にビニールハウスの様子を確認することが可能です。

製造業の事例

製造業におけるIoTの活用事例として多いのは、工場の生産ラインなどの設備の監視および保守業務です。異音や振動を検知するセンサーによって設備を監視することで、目視では見落としてしまうような小さな異常に気づけます。

 

故障の前兆を発見できるので、未然に故障を防ぐアクションをとることが可能です。突発的なトラブルによる生産ラインの停止を防ぐことによって、生産効率も上がります。設備の稼働状況をデータとして蓄積することで、部品の交換周期が読み取れるなど、メンテナンス業務の効率化も可能です。

 

製造業へのIoTシステム導入は、故障率の低下や部品ロスの削減による生産効率の向上、業務量低減による省人化に貢献しています。

小売業の事例

小売業では、IoTシステムを商品管理に導入するケースが多いです。商品棚に重さを測定するセンサーを設置しデータを送ることで、商品の在庫状況を把握できます。発注が必要な商品と個数がひと目でわかるので、発注業務の効率化が可能です。棚卸しに必要なデータも自動で集まるので、業務量が大幅に削減されます。

カメラを用いた顧客の行動分析も可能です。顧客の来店時間から、年齢や性別、店内の動線データまで収集し分析。顔認証システム、POSデータを活用することで、顧客別の購買リストを作成できます。顧客の行動パターンや趣向が把握できるので、最適な売り場作り、商品仕入れに役立てることが可能です。

 

さらに小売業界では、顔認証システム、センサーを活用した無人店舗が実現されています。初来店時に顔認証システムによる登録を行うことで決済システムとリンクし、顧客は手ぶらでの買い物が可能です。顧客が商品を持って退店すると、ゲートのセンサーにより自動で決済が行われます。店舗内はカメラとセンサーにより監視されており、異常があれば運営へ通知される仕組みです。

このように、IoTシステムによって販売者だけでなく、顧客にも大きな利便性をもたらすことが可能です。

住宅の事例

住宅業界では、IoTシステムを活用したスマートハウスを開発されました。スマートハウスとは、スマートフォンなどのデジタルデバイスで、どこからでも家電の操作を行える仕組みをもつ住宅のことです。

家の中では、スマートスピーカーに話しかけるだけでエアコンや照明の操作ができます。外出先からは、スマートフォンでエアコンや照明の消し忘れに気づいて対処することが可能です。帰宅前にお風呂を沸かし始めたり、炊飯器のスイッチをオンにしたりと、生活がより快適になります。

 

さらに、家の中にカメラやセンサーを設置することで、高齢者やペットの見守りを行うことも可能です。活動情報や映像がネットワークを介してスマートフォンへ送られ、遠くにいても異変に気づくことができます。

自動車の事例

自動車のIoTシステム事例は、運転者の走行データと道路情報をもとにして、快適な運転をサポートするものです。AIにより走行データを分析することで、運転者へのフィードバックや注意喚起を行い、運転者の運転レベルの向上が期待できます。

 

専用の周波数による車と信号機、道路との通信が可能となっており、道路情報がリアルタイムで取得可能です。目視やセンサーでは見えない死角の情報を運転者へ伝えられるので、人や車との接触回避など、事故防止にもつながります。

IoTシステムが暮らしや仕事を変えていく 

モノの利便性や快適性を高めることができるIoTシステムは、デバイス・センサー・ネットワーク・アプリケーションの、4つの要素で構成されています。近年は、デバイスの小型化や5G、スマートフォンの普及などによって、IoTシステムを導入しやすい環境が整ってきました。IoTシステムが広まることで、家電の遠隔操作ができたり、センサーで詳細な情報を収集できたりと、生活はますます便利になるでしょう。

 

あらゆる業界でもIoTシステムは活躍中です。農業では農作物の遠隔管理に、製造業では工場ラインの監視・保守業務に、小売業では商品管理などで利用されています。また、家中の電化製品を遠隔操作できるスマートハウスや、AIによる自動車運転の安全技術も開発されました。

IoTシステムをどのように活用するかが、今後の企業の発展に大きな影響を与えるといっても過言ではありません。IoTの仕組みや各業界のIoTシステム活用事例を知り、最先端の技術を取り入れましょう。

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